パン

いつも開店一番に店に来てくれる君のために
今日も暗いうちからぼくはパンを焼いている

ずっと気になっていた手の火傷の跡も
勲章みたいなものだよと今なら笑える気がする

パンを手渡すときに笑いかけてくれる
君の顔を思い浮かべながら
ぼくはパン生地にぎゅっと力を込めた