赤いリボン

八時二十三分

決まって同じ時間に
颯爽と自転車で通り過ぎるキミ

わたしは立ち止まって
キミの姿が見えなくなるまで
無言で背中を見送るだけ

でも今日は特別

もしもできることなら
いつもと違うわたしに
気づいて欲しい

春の暖かな日差しを受けて
可憐に咲く薔薇のような
鮮やかな赤色のリボン

動かない針

君が去ったあの日から
僕の時間は止まったまま

ここにいるはずのない
君の姿を探してしまい
途方に暮れる日々の繰り返し

たぶんきっと
他の誰かを好きになるまでには
もう少し時間が必要なんだ

そう自分に言い聞かせながら
どれくらいの時を重ねたのだろう?