秘密の場所

そういえばここに来て
ぼんやり時間を過ごすのも
いったい何度目だろうと
ふと我に返る

辺りを包み込むような
淡い光に目を細め
遥か遠くにあるはずの
我が家を探す

それは現実逃避だねと
貴方は笑うかもしれないけど
でもわたしにとっては
大切な場所と時間なの

桜と城

何度目の春が来たのか
もう定かではない

いつも変わることなく
この時季になると
枝一杯に花を咲かせ
光と香りを辺りに放つ

そして

水面に映る相棒を
ぼんやり眺めながら
うたた寝するのが
わたしの楽しみである

ファインダーの向こう側

その景色にカメラを向けたとき
たまたま視界に入ってしまった人が
振り向くとわたしを見て微笑んだ

ちょっと驚きながらも
わたしは少し照れながら
カメラのシャッターを押した

ファインダーの
向こう側にもこちら側にも
変わらず景色がある 人がいる

当たり前だけど はっとした瞬間